体調不良を正しく理解するために
私たちの体は、時に血圧が高くなったり、熱が出たり、頭痛がしたり、食欲がなくなったり
下痢をしたりと、普段とは異なる「体調不良」を経験します。
これらの症状は不快で、日常生活を妨げることも多いので、「病気」として捉えがちです。
そして、多くの場合、病院ではその症状を抑える治療が施されます。
例えば、血圧を下げる薬、熱を下げる解熱剤、頭痛薬、胃薬、下痢止めなどが処方されます。
しかし、ここで一つ覚えておきたい大切なことがあります。
それは、私たちの体は、自分をわざわざ「病気」の状態にするわけではないということです。
実は、これらの症状は、体が正常な状態(いわゆる定常状態)に戻ろうとする過程で
発生している「必要な反応」なのです。
つまり、私たちが「不快」だと感じる症状であっても、体にとっては元の健康な状態に戻るための
重要なサインであり、反応なのです。
西洋医学と東洋医学の違い:症状へのアプローチ
西洋医学では、これらの症状そのものを「病気」として捉え、それを抑えることが治療の中心となります。
しかし、血圧を下げる薬を服用して血圧を下げたとしても、「なぜ体は血圧を上げたのか」という
根本的な原因は解決できません。
結果として、血圧が下がった表面的な状態の裏で、体には別の不具合が残ってしまうこと
も考えられます。
もちろん、急激な血圧の上昇や高熱が何日も続くという場合には、命を守るために
西洋医学的な治療も必要です。
ただ、『正常値とされる数値に合わせるために』薬を飲むことは、体の訴えに目を背けてしまうことにもなりかねません。
東洋医学のアプローチ
一方で、東洋医学のアプローチは異なります。
東洋医学では、「なぜ血圧が高いことが体にとって必要だったのか?」という原因に目を向けます。
そして、その原因を探ることで、血圧を上げなくても良い体の状態を作ることを目指します。
つまり、症状を抑えるのではなく、体そのものを整え、症状が起きる必要のない状態に導くこと
を重視するのです。
不調が教えてくれること:症状と向き合う大切さ
体調不良を感じたとき、多くの人はその不快感を早く取り除きたいと思うものです。
そして、薬を飲んで症状を抑えようとします。
しかし、ここで一度立ち止まり、「どうしてこの症状が起きているのか?」を考えることが重要です。
症状は、体が私たちに伝えようとしているメッセージかもしれません。
そのメッセージを無視して症状を消し去るだけでは、根本的な問題は解決しない可能性があります。
私たちの体が発するサインに耳を傾け、その原因を一緒に探り、体が本来持つ回復力を活かすこと。
これこそが、私たちが体と向き合う上で大切な姿勢ではないでしょうか?
「不調」は単なるトラブルではなく、体が健康な状態に戻ろうとする「理由ある反応」です。
その理由を見つめ、体と対話すること。それが健康を見つめ直す第一歩になるのです。