冷えと頭痛の関係


『冷え』と『頭痛』

一見、別々の問題に思えるこれらの症状ですが、実は深く関連していることをご存じでしょうか?


東洋医学では、冷えが血流を滞らせ、痛みを引き起こす一因になると考えられています。

また、痛みが続くことで体温調節の働きが乱れ、冷えを悪化させることも。


今回のコラムでは、冷えと痛みの関係を紐解きながら、その改善方法についてお伝えします。


1. 冷えが体に与える影響

東洋医学では、「冷え」は体の陽気(ようき)=体を温めるエネルギー の不足、
または気血のめぐりが悪くなることで起こるとされています。


陽気は体を温め、体が正常に活動できるようにするエネルギーです。

しかし、寒さや体質的な要因で『陽気』』が不足すると、血液や気の
流れが悪くなり、体の隅々に栄養やエネルギーが届きにくくなります。

その結果、『痛み』として出てくることがあるのです。

ご高齢の方では、寒くなると『足腰が冷えて痛い』という方は多いですが、若い方でも
寒さが続くと、気血の流れが悪くなり、『頭痛』や『肩こり』など
普段は感じないような痛みを感じる方が多くなります。


頭痛の分類

『冷え』による頭痛の原因は、大きく次の3つに分けられます。


2. 冷えによる頭痛の東洋医学的メカニズム

(1) 陽気不足による頭痛

陽気=体を温めるエネルギー が不足すると、血液や気が頭部に十分にめぐらなくなり
頭痛が起こると考えられます。


特に、冷たい環境に長時間いると、首や肩が冷えて血流が滞りやすくなり、**緊張性の頭痛が発生する
ことがあります。


**緊張性の頭痛の特徴

1 肩や首のこりを伴うことが多い

 頭痛とともに、首筋や肩が硬くはっているような感覚がある。

2 締め付けられるような痛み

頭全体や側頭部がハチマキなどで「ギューッ」と締め付けられるように感じる。

3 鈍く重い痛み

 ずきんずきんと響くような鋭い痛みではなく、鈍く持続的な痛みが特徴。

4 片頭痛と異なり吐き気や光過敏が少ない

 吐き気や音・光に対する過敏症状(光や音で頭痛がひどくなる)は通常みられない

5 ストレスや疲労が誘因

  精神的なストレスや長時間のパソコン作業など、筋肉の緊張が原因となることがある


(2) 寒邪(かんじゃ)による頭痛

外部からの「寒邪」(冷えの原因となる邪気)が体に侵入すると、気血のめぐりが阻害されます。

これは、例えば冬場に冷たい風に当たり続けると、首筋から寒邪が侵入して頭痛を引き起こ
すようなもので、この場合、頭痛は「冷たく重たい感覚」「締め付けられるような痛み」
として感じられることが多く、風邪のひき始めなどにもみられます。


(3) 腎陽虚(じんようきょ)と冷えによる頭痛

東洋医学では、腎(じん)が体全体の陽気を司るとされています。

腎の陽気が不足すると、全身が冷えやすくなるとともに、腰から背中、頭部にかけて気血の不足や
滞りが生じ、頭痛につながることがあります。

この場合、冷えからくる腰痛や足の冷えも伴うことが多いです。

ご高齢の方や、元々の体質(陽虚体質)、長患いで体力が低下している方に多くみられます。

腎陽虚の頭痛は、シクシクと軽い痛みが長く続くような痛みで、温めると和らぐのが特徴です。



3. 頭痛と冷えを緩和するためのアプローチ

(1) 体を温める

体全体の冷えを改善し、陽気を補うことが基本です。温かい飲み物(例えば生姜湯)や、
ネックウォーマーやカイロ、温灸や足湯などで首回り・足元を保温し、体内の陽気が
外に出なようにしましょう。

朝起きた時に頭痛がする場合には、寝ている間の『陽気の不足』が原因となることも。

寝室の温度を適正にし、特に首元が冷えないように緩めのタートルネックや、ネックウォーマーで
首元が冷えないようにしましょう。

特に、お腹が冷えている方も多いので、腹巻きなどをしてお腹を冷や
さないようにしましょう

(2) 気血の流れを促進する

血行を良くするツボ押しやマッサージが効果的です。

例えば、頭痛に効果があるとされるツボ「百会(ひゃくえ)」や「風池(ふうち)」
全身の冷えを緩和する「足三里(あしさんり)」などを気持ち良い程度に温灸や
セルフマッサージなどで刺激すると良いでしょう。

3)漢方薬を利用する


体を内側から温める、『漢方薬』も効果的です。


特に冷えが原因となっている頭痛には

● 呉茱萸湯
● 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
● 桂枝人参湯 

などが使われます。

また『腎陽虚』と言われる、体質的に体を温める力が弱っている場合には

●八味地黄丸
●真武湯

などが使われることがあります。
風邪のひき初めには、麻黄湯や葛根湯なども良いでしょう。

漢方薬を服用の場合には、薬剤師や登録販売者にご相談の上ご購入ください。


今回は、冷えが強い中年期以降の女性に多い『腎陽虚』タイプの食事療法について取り上げました!



腎陽虚(じんようきょ)の食事療法:自宅でできること

腎陽虚は、体を温める力(陽気)が不足し、冷えや疲れ、むくみなどの症状が出る状態です。
食事で腎を補い、体を温めることが大切です。

1. 体を温める食材をとる

腎陽虚の人は冷えやすいため、温める食材を意識しましょう。

✅ 温める食材

  • 肉類:羊肉、鶏肉、鹿肉
  • 魚介類:エビ、アナゴ、カツオ
  • 野菜類:ニラ、ネギ、生姜、シナモン
  • 穀類・豆類:もち米、黒米、小豆、黒豆
  • ナッツ類:クルミ、栗
  • 発酵食品:味噌、納豆、ぬか漬け

2. 腎を補う黒い食材をとる

腎は「黒」の性質を持つため、黒い食材が良いとされています。

✅ おすすめの黒い食材

  • 黒ゴマ
  • 黒豆
  • 黒きくらげ
  • ひじき
  • 昆布
  • 海苔

3. 冷たいもの・生ものを避ける

体を冷やす食べ物は避けましょう。

❌ 控えたい食材

  • 冷たい飲み物、アイス
  • 生野菜(特に夏野菜:トマト、ナス、キュウリ)
  • 南国フルーツ(バナナ、パイナップル)

4. 体を温める飲み物をとる

✅ おすすめの飲み物

  • 生姜湯
  • シナモンティー
  • 黒豆茶
  • 紅茶

5. 調理法を工夫する

腎陽虚の人には 煮る・蒸す・炒める など、体を温める調理法が◎

  • スープや鍋料理(根菜と肉をじっくり煮込む)
  • 炒め物(生姜やニンニクを使うとさらに温め効果UP)
  • 煮込み料理(おでん、味噌煮込みなど)

✅ 自宅で簡単にできる腎陽虚向けレシピ例

  • 黒豆ごはん(炒った黒豆を炊飯時に入れて炊く)
  • 生姜入り鶏団子スープ(鶏ひき肉に生姜を混ぜ、スープで煮る)
  • 味噌仕立ての根菜鍋(大根、人参、ごぼう、鶏肉、味噌で煮る)

    など。

『腎陽虚』タイプの人は、温かい食事をしっかりとることが大切です。
水分は温かいものからとり、消化の良いものを食べましょう。


毎日の食事に少しずつ取り入れて、体を内側から温めましょう! 😊

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