はんなり堂薬局では、今年のテーマとして『血液の浄化』と『腎臓を元気に保つ』ことに注目し、歳を重ねても若々しく健康でいられるためのさまざまな健康法をご提案していきます。
新年最初のコラムでは、『血液型と病気の関係』について、わかりやすくご紹介します。
目次
血液型って何?
血液型を決めるのは、赤血球の表面にある「抗原(こうげん)」という特殊なタンパク質です。
この抗原の種類によって血液型が決まります。
血液型の決まり方
人の血液型は、主に2つの分類方法で決まります。
● ABO式血液型
ABO式では、赤血球の表面に存在する抗原の違いによって、次の4つに分類されます。
A型: 赤血球にA抗原がある
B型: 赤血球にB抗原がある
AB型: A抗原とB抗原の両方がある
O型: 抗原がない
● Rh式血液型
Rh式では、赤血球に「Rh因子」という別の抗原があるかどうかで分類されます。
Rh陽性(+): Rh因子がある
Rh陰性(−): Rh因子がない
Rh抗原は非常に複雑ですが、一般には C ・ c ・ D ・ E ・ e などの抗原がよく知られています。
Rh陽性やRh陰性という表現は、これらのうちD抗原がある場合をRh陽性、ない場合をRh陰性としています。
日本人のRh陰性の頻度は0.5%で、白人の頻度15%に比べると相当低い率となっています。
この2つの分類を組み合わせて、例えば「A型Rh陽性」や「O型Rh陰性」などの血液型が決まります。
血液型は、私たちが生まれつき持っているもので、変わることはありません。
日本人と血液型
日本人は、A型が多いとされています。
日本人の血液型の割合は、ABO型ではA型4割、O型3割、B型2割、AB型1割。
Rh型ではRhプラスが99.5%、Rhマイナスが0.5%です。
Rhマイナス型の割合:
A型Rh(-)0.2%(約500人に1人)
O型Rh(-)0.15%(約670人に1人)
B型Rh(-)0.1%(約1,000人に1人)
AB型Rh(-)0.05%(約2,000人に1人)
血液型の発見と輸血の歴史
昔から、けがや病気で血を失った人を助けようと、血液を他の人や動物から入れようとする試みがありました。
でも血液型がわかっていなかったので、ほとんどの場合は失敗してしまいました。
- 昔の輸血(失敗の歴史)
17世紀(1600年代)
ヨーロッパでは、動物の血液を人に入れる実験がされましたが、うまくいかず命を落とすこともありました。 - 血液型の発見
1900年ごろオーストリアの医師カール・ラントシュタイナーが血液型を発見しました。彼は、人の血液にはA型、B型、O型の違いがあることを見つけ、血液型が合わないと危険だと明らかにしました。この発見で輸血が安全になり、医療が大きく進歩しました。 - 現代の輸血
今では、輸血をする前に血液型を必ず調べ、ぴったり合う血液を使うようにしています。また、輸血のために血液を保存する技術も発展して、必要なときに安全に使えるようになっています。
血液型と輸血のポイント
A型の人はA型かO型の血液をもらえます。
B型の人はB型かO型の血液がもらえます。
AB型の人はどの血液型でもOK。
O型の人はO型だけもらえますが、誰にでも血液をあげられる特別な血液です。
Rh式血液型を考慮すると
Rhマイナスの人に輸血できるのはRhマイナスの血液に限られますが(ただし、生命を脅かす緊急事態の場合は除きます)、Rhプラスの人には、Rhプラスの血液でもRhマイナスの血液でも輸血できます。
世界での血液型分布は?
日本では、A型が最も多く、次いでO型、B型、AB型の順に多くなっています。
しかし、中南米諸国ではそのほとんどがO型だそうです。
なんとコロンビアとベネズエラにいたってはO型が100%なのだとか!
他にも中国、アイスランド、サウジアラビアなどは人口の約50%以上がO型ということが分かっています。
世界的には、O型の人口が最も多くなっています。
遺伝による子供の血液型の決定
血液型は遺伝によって決まります。両親から受け継ぐ遺伝子(A、B、O)がどのように組み合わさるか
で子どもの血液型が決まります。(染色体にある血液型の遺伝子の型は通常1つです)
A型の遺伝子は「A A型」または「A O型」
B型の遺伝子は「B B型」または「B O型」
O型の遺伝子は「O O型」のみ
AB型の遺伝子は、「A B型」のみ
なので、
例えばお子さんが生まれた場合には、
A型の親とO型の親 → 子どもはA型またはO型。
A型の親とB型の親 → 子どもはA型、B型、AB型、O型のいずれか。
とうことになります。
AB型とA型の両親からO型の子どもは生まれない?
上記の考え方であれば、通常はAB型とA型の両親からはO型の子どもは生まれないことになります。
通常染色体1本に存在する血液型の遺伝子は1つなのですが、1本の染色体にA型遺伝子もB型遺伝子も両方存在する
シスAB型という染色体が存在するのです。
シスABの染色体1本とO型遺伝子を含む染色体を持つ親からO型遺伝子を受け継いだ場合、もう片方の親からO型を引き継げばO型の子どもが誕生します。
血液型と特定の病気のリスクとの関係
血液型と特定の病気のリスクには関連性があるとする研究がいくつか報告されています。
以下に主な例を挙げます。
A型の方
胃がん: A型の人は、O型の人に比べて胃がんのリスクが1.2倍高いとする研究があります。
虚血性心疾患: A型の人は、虚血性心疾患のリスクがやや高いとする報告があります。
B型の方
2型糖尿病: B型の人は、O型の人に比べて2型糖尿病のリスクが1.2倍高いとする研究があります。
膵臓がん: B型の人は、O型の人に比べて膵臓がんのリスクが1.72倍高いと報告されています。
AB型の方
脳卒中: AB型の人は、O型の人に比べて脳卒中のリスクが1.83倍高いとする研究があります。
認知症: AB型の人は、O型の人に比べて認知症のリスクが1.82倍高いとする報告があります。
O型の方
血栓症: O型の人は、血液が固まりにくい性質があり、エコノミークラス症候群や心筋梗塞のリスクが他の
血液型に比べて低いとされています。
これらの研究結果は、血液型と病気のリスクに一定の関連性があることを示していますが、個人の生活習慣や遺伝的要因、環境要因なども病気の発症に大きく影響します。
したがって、血液型だけで健康リスクを判断するのではなく、バランスの取れた食生活や適度な運動、定期的な健康チェックなど、総合的な健康管理が重要です。
O型の人は蚊に刺されやすい?
2004年に害虫防除技術研究所の白井良和氏が行った実験では、64人のボランティアを対象に
ヒトスジシマカがどの血液型を好むかを調査しました。その結果、O型の人が最も多く刺される傾向が確認されました。
また、遺伝子解析の結果、蚊に刺されやすい遺伝子タイプの人の割合が相対的に高い血液型は
1位がO型(9.47%)であることが報告されています。
これらの研究から、O型の人は他の血液型の人に比べて蚊に刺されやすい傾向があるとされています。
ただし、蚊が人を刺す際には、血液型以外にも体温、汗の成分、呼気中の二酸化炭素量、着ている服の色など
さまざまな要因が影響します。そのため、血液型だけが決定的な要因ではないことも考慮する必要があります。
O型の人は大量出血をしたときに死亡リスクが高い?
O型の人が大量出血時に死亡しやすいというデータについては、いくつかの研究が示唆する点がありますが
これは血液型特有の凝固因子の働きによるものと考えられています。
O型の血液と凝固因子の特徴
O型の人は、血液を固める働きをする「凝固因子」の一部(特にフォン・ヴィレブランド因子)の量が他の血液型に比べて約30%低いと言われています。
この因子は、傷ができたときに血を止める役割を果たします。
フォン・ヴィレブランド因子の少なさのために、出血を止めるのに少し時間がかかる傾向があるとされています。
手術中や事故時に出血量が多い場合、O型の人は他の血液型の人に比べて止血が遅れる可能性があるため、リスクが高くなる可能性があります。
研究結果の例
2017年に発表された日本の研究(医学誌「Critical Care」)では、O型の患者が大量出血を伴う外傷を受けた場合、他の血液型の患者よりも死亡率が高い傾向があることが示されました。
この研究では、O型の患者の死亡率が28%で、非O型の患者の11%と比較して有意に高かったとされています。
実際のリスクと注意点
医療の現場では、適切な輸血や止血処置が行われるため、血液型が直接的に死亡率を大きく左右することは少なくなっています。
リスク要因の一部として血液型が関与する可能性があるものの、生活習慣や事故の状況、治療の速さなど、他の要因も大きな影響を及ぼします。
まとめ
●血液型は、ABO式とRh式によって決定される。
●日本人には、A型の割合が多いが、世界的にはO型の割合が多い。中南米には圧倒的にO型が多い国も存在する。
●日本人は、Rh−型の割合が低い。
●それまでは、勘に頼っていた輸血が、ABO血液型の発見により安全なものになった。
●両親の血液型で子どもの血液型がある程度決まる、が例外もあるので血液型だけでは親子関係を決定づけることはできない。
●O型の人は、他の血液型に比べて病気のリスクが低い傾向にある
●O型の人は、血液凝固に時間がかるとされているが、このことがエコノミークラス症候群や心筋梗塞などの血栓による病気の発症リスクが低いことにつながる可能性が示唆されている。
●O型の人は、他の血液型に比べて蚊に刺されるリスクが高いという研究報告がある。
●O型の人は、大量出血時に血液が固まりにくい傾向があるため、理論的には死亡リスクがやや高い可能性があるが、現代の医療では迅速な対応が行われるため、血液型だけで生存率を決めつけることはできない。