花粉シーズン到来!
早ければ2月上旬から症状が出る花粉症。
毎年、症状にお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
花粉症は、東洋医学では特に「風邪(ふうじゃ)」「湿邪(しつじゃ)」「熱邪(ねつじゃ)」など
が原因と考えられ、体内の
● 気(体を動かしたり温めたりするエネルギー)
● 血(栄養豊富で体を滋養する成分)
● 津液(=体を潤す体液)
のバランスが崩れることで症状が現れると考えられています。
東洋医学的な花粉症のメカニズム
- 風邪(ふうじゃ)
花粉症は春や秋に悪化しやすいことから、東洋医学では外部から侵入する「風邪」の影響が大きいと考えられます。
この「風」が体内に入り込み、鼻や目に炎症やかゆみを引き起こします。 - 体質の問題
花粉症になりやすい人は、東洋医学では「肺」「脾」「腎」の弱りが原因とされます。
具体的には、
- 肺:
呼吸器系の中心となる肺は、鼻の症状に深く関係しています。
肺が弱ると外邪(花粉など)に抵抗する力が低下します。 - 脾:
脾は、胃腸のことで、消化器系の総称です。体内の水分代謝に深い関係があり脾が弱ると「湿邪」が溜まりやすく、鼻づまりや粘っこい鼻水が出ます。 - 腎:
体全体のエネルギーの元となる臓で、免疫力に影響します。
腎が弱ると全体的な体力が低下し、外邪(病気を引き起こす邪気)に負けやすくなります。
- 肺:
- 水分代謝の異常
- 花粉症の症状である鼻水や涙目は、「津液(体液)」がスムーズに流れず、滞った結果と考えます。この滞りを解消することが治療の鍵となります。
- 花粉症の症状である鼻水や涙目は、「津液(体液)」がスムーズに流れず、滞った結果と考えます。この滞りを解消することが治療の鍵となります。
漢方治療の基本方針
花粉症に対する漢方治療では、
① 邪気を排除する
②免疫力を上げる
③水分代謝を正常にする
④アレルギー症状自体を軽減する
ことで症状を和らげます。
具体的には
- 邪気の排除
- 体内に侵入した「風邪」や「湿邪」を排除するために、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)、麻黄細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などを使います。
- 体内に侵入した「風邪」や「湿邪」を排除するために、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)、麻黄細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などを使います。
- 免疫力の向上
- 体質を改善し、花粉症に強い体を作ることを目指します。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や玉屏風散(ぎょくへいふうさん)が体力向上や予防に用いられます。
これらの漢方薬は、花粉の飛散が始まる2週間ぐらい前から服用することでより効果を高めることができます。
- 体質を改善し、花粉症に強い体を作ることを目指します。
- 水分代謝の調整
- 五苓散(ごれいさん)や苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は水のめぐりをよくして、体内の水分の偏りを解消し、症状を和らげます。
- 五苓散(ごれいさん)や苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は水のめぐりをよくして、体内の水分の偏りを解消し、症状を和らげます。
- アレルギー症状の軽減
- 痒みや炎症、咳などを抑えるために、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や、五虎湯(ごことう)などが使われます。
- 痒みや炎症、咳などを抑えるために、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や、五虎湯(ごことう)などが使われます。
**漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶ必要があるため、服用の際には医師、薬剤師、登録販売者などの専門家にご相談の上ご購入ください。
日常でできること
- 冷たい食べ物や飲み物は、花粉症のシーズン前から控える:
特に胃腸(脾)を冷やすと湿邪が貯まりやすくなり、鼻水や涙目などの症状がひどくなります。 - 体を温める:
温かいお茶(生姜茶や陳皮入りのお茶)を飲むことで、肺を潤し粘膜を守り肺を強化します。 - 規則正しい生活を心掛ける:
睡眠不足や疲労は腎を弱らせる原因になります。腎が弱ると生命力が低下し、免疫力
低下すると考えられています。
特に、冬は腎と深い関係がある季節。冬に睡眠をしっかりとり、体を休めることが花粉症
の症状軽減につながります。 - 粘膜を乾燥させない:
加湿器を利用したり、鼻や喉の潤いを保つためにマスクをするのも効果的です。 - バランスの良い食事:
温かいスープや、体を潤す食材(梨、大根、白きくらげなど)を積極的に取り入れると良いでしょう。
東洋医学では、体全体のバランスを整えることが大切だとされます。花粉症の季節だけでなく、普段から体質改善を意識することで症状を和らげることが可能です。
花粉症の津液との関係
花粉症と津液(しんえき)の関係は、東洋医学においてとても重要なポイントです。
津液とは、体内の正常な体液(汗、唾液、涙、リンパ液など)を指し、体を潤し
健康を保つ役割を果たします。
しかし、この津液が体内で滞ったり、不足したり、過剰になったりすると、花粉症のような
症状が現れると考えられます。
津液の働きと花粉症の関連
- 正常な津液の働き
- 津液は、体内の水分バランスを保ち、鼻や喉などの粘膜を潤します。また、汗や涙として外に排出されることで、体内の「余分な水分」も適切に調整されます。
- 津液は、体内の水分バランスを保ち、鼻や喉などの粘膜を潤します。また、汗や涙として外に排出されることで、体内の「余分な水分」も適切に調整されます。
- 津液が滞る(「水滞」や「痰湿」)場合
- 津液がスムーズに循環せず、体内で「停滞」する状態を東洋医学では「水滞(すいたい)」や「痰湿(たんしつ)」と呼びます。この滞りが、花粉症における鼻づまりや、粘性のある鼻水などの症状につながります。
- 例えば、湿邪(体内の余分な湿気)が溜まると、津液の流れが悪くなり、鼻粘膜の腫れや炎症が起こりやすくなります。
- 津液がスムーズに循環せず、体内で「停滞」する状態を東洋医学では「水滞(すいたい)」や「痰湿(たんしつ)」と呼びます。この滞りが、花粉症における鼻づまりや、粘性のある鼻水などの症状につながります。
- 津液が過剰になる場合
- 津液が必要以上に作られると、透明で水っぽい鼻水が多量に出ることがあります。
- 津液が必要以上に作られると、透明で水っぽい鼻水が多量に出ることがあります。
- 津液が不足する場合
- 津液不足(陰虚・いんきょ)では、粘膜が乾燥してしまい、鼻や喉の防御機能が低下します。
その結果、花粉などの外邪が侵入しやすくなり、アレルギー反応が強くなります。
- 津液不足(陰虚・いんきょ)では、粘膜が乾燥してしまい、鼻や喉の防御機能が低下します。
体質的に、
● 顔や手足がむくみやすい
● 胃がぽちゃぽちゃする感じがある
● 天気が悪い日や台風が近づくと頭が痛くなる
という方は、湿が溜まりやすく、花粉症の症状が重い傾向にあります。
このような方は、津液のめぐりをよくし、偏りをなくすことで粘膜が潤い、
症状が軽くなる、もしくはなくなるという方も少なくありません。
体質改善は今からでも遅くない!
ぜひ、ご相談くださいね!