『体質』というのは、両親から受け継がれ持って生まれた先天的なものと、食生活や
生活習慣など、後天的なものから決まります。
特に現代の多くの病気は、自分で変えることができる食生活や生活習慣などの後天的
なものの影響を受けていることがわかっています。

最近の日本では、健康への意識が高まり、運動をしたり、サプリメントや漢方薬を利用したりする方が増えています。
しかし、これまでの日本では「健康」か「病気」かのどちらかだけを意識することが一般的で
病気になってから病院で治療を受けるのが主流でした。
中国伝統医学(中医学)では、古くから『体質』を重視し、体質に応じた養生法を推奨し
病気を治療するのではなく、病気を予防することに力が注がれてきました。
中国では、2007年には、国家プロジェクトとして、『治未病』という国民の健康に関わる
一大プロジェクトが展開され、中国全土で170箇所以上の治未病センターが設立されました。
未病のうちに異変を発見し大きな病気につながらないように健康管理を行うという活動が
国家をあげて推進されています。
治未病センターでは、『体質九分類』に基づいた調査票をもとに個人の体質を
判定し、それぞれに適した養生法を組み立てて、治未病、健康増進に役立てられています。
目次
『体質九分類』とは?
中国体質学説(中医体質学)は、中国伝統医学(中医学)の理論を基に、個々の体質の違いを分析しそれに応じた健康管理を行う考え方です。
この学説は、2009年に中国中医科学院によって提唱され、現在の「体質九分類」として発展しました。
特に後天的な環境や生活習慣は、病気に大きく関係するとして
この理論に基づき、自分の体質を知った上で日常生活を見直し、健康管理をことで、病気を
未然に防ぎ健康的な生活を送ることを目的としています
『体質九分類』の基本理論
体質の形成要因
中国体質学説では、体質の形成には「先天的要因」と「後天的要因」の両方が関与すると考えられています。
✅ 先天的要因(生まれつきの体質)
- 遺伝(両親から受け継いだ体質)
- 妊娠中の母親の健康状態
- 胎児の成長環境
✅ 後天的要因(生活による変化)
- 飲食習慣:バランスの良い食事か、偏った食生活か
- 気候・環境:湿度・気温・生活地域の影響
- 精神状態:ストレスや感情の影響
- 運動習慣:運動不足か適度な運動をしているか
- 疾病歴:過去の病気や治療の影響
体質の9つの分類
『中国体質学説』では、人の体質を9種類に分類しています。
これは「陰陽」「気血」「寒熱」「湿燥」といった中医学の概念をベースに作られています。
① 平和質(健康バランス型)
- 体質バランスが取れており、病気になりにくい
- 明るく活発な性格
- 基本的に何を食べても問題ない
② 気虚質(エネルギー不足型)
- 疲れやすく、風邪を引きやすい
- 声が小さい、運動すると息切れする
- 温かい食事、栄養をしっかり摂ることが重要
③ 陽虚質(冷え体質)
- 手足が冷える、寒がり
- 胃腸が弱く、下痢しやすい
- 体を温める食材(生姜、羊肉など)が良い
④ 陰虚質(潤い不足型)
- のどが乾きやすく、肌がカサカサする
- 便秘気味、寝汗をかきやすい
- 辛いものやアルコールを控え、潤いを補う食材を摂る
⑤ 痰湿質(水分代謝が悪い)
- むくみやすく、体が重い
- 胃もたれしやすく、脂っこいものを食べると不調
- 代謝を上げる食事(豆類、冬瓜など)が良い
⑥ 湿熱質(脂っぽい体質)
- 肌が脂っぽく、ニキビや吹き出物ができやすい
- 口臭があり、便がベタつく
- アルコールや辛いものを控え、清熱作用のある食材を摂る
⑦ 血瘀質(血流が悪い)
- シミやあざができやすく、肩こり・頭痛がある
- 体が冷えやすく、生理不順になりやすい(女性)
- 血行を良くする食材(黒酢、ナツメなど)が良い
⑧ 気鬱質(ストレス過多型)
- イライラしやすく、ため息が多い
- 精神的に不安定になりやすい
- 柑橘類やリラックス効果のあるお茶(菊花茶)が良い
⑨ 過敏質(アレルギー体質)
- 花粉症やアレルギー反応が出やすい
- じんましん、鼻炎などの症状が出る
- シソやクコの実、蜂蜜などが免疫調整に良い
中国体質学説の活用法
中国体質学説は、単なる体質分類にとどまらず、「予防医学」としての役割も果たします。
✅ 健康管理に役立つ
- 自分の体質に合った食生活・運動・養生法を選ぶ
- 季節ごとに体調管理を意識する
✅ 病気予防ができる
- 「未病(病気になる前の状態)」の段階で体質改善が可能
- 体質ごとの弱点を補い、健康を維持
✅ 個別の養生指導ができる
- 個々の体質に合わせた治療や生活指導が可能
- 中医学の漢方・鍼灸・推拿(マッサージ)と組み合わせると効果的
まとめ
🔹 『体質九分類』は、中医学の理論をベースにした「個々の体質に応じた健康管理法」です。
🔹 9種類の体質分類を知ることで、自分に合った食事・運動・生活習慣を選ぶことができます。
🔹 病気予防や未病対策にも役立ち、体質改善を通じてより健康な生活を送ることが可能です。
興味があれば、自分の体質をチェックして、日々の生活に取り入れてみてください!
『未病体質研究会』
医学博士の鈴木信孝先生が代表を務められる、『体質に基づき未病を治療する』
ことで国民の健康増進に役立つことを目的とした研究会です。
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