脇の下をゆるめると、なぜ首から上がスッキリするの? ―東洋医学の視点から―
「肩や首はマッサージしているのに、頭の重だるさやこめかみのつまり感が取れない」
そんな方は、脇の下を意識してみてください。
「脇の下のリンパ」を東洋医学で捉えると
「リンパ」という概念自体は西洋医学に由来するものですが、東洋医学ではその部位に重なるように、いくつかの重要な経絡・経穴(ツボ)が通っています。
① 心経(しんけい)・極泉(きょくせん)
極泉は、脇の下の中央にあるツボで、心経というルートの起点にあたります。
ここがこり固まってしまうと、胸苦しさや動悸、精神的な緊張として現れやすいとされています。
② 心包経(しんぽうけい)
感情や自律神経の調整に関わるとされる経絡で、脇の周辺を通過します。
ストレスによる「気滞(きたい)」―気のめぐりの悪さにつながりやすい場所です。
③ 肝経(かんけい)の支脈
東洋医学には「肝は疏泄(そせつ)を主る」という考え方があります。
これは、気・血・水をスムーズに全身にめぐらせる、サーキュレーターのような働きを肝が担っている、という意味です。
ストレスでこの肝のはたらきが乱れると、脇や胸のあたりに詰まった感じ(気滞)として表れやすくなります。
つまり脇の下は、心・感情・自律神経・気血のめぐりに関わる複数のルートが集中する、いわば「交差点」のような場所なのです。
なぜ脇のつまりが、首から上の不調につながるの?
東洋医学では、体を経絡でつながった一つのシステムとして捉えます。
部分的な不調は、必ずどこかの不調に影響すると考えるのが東洋医学の見方です。
1. 気滞血瘀(きたいけつお)
脇や首肩まわりで気・血の流れが悪くなると、その先―首から頭部へのめぐりも連動して悪くなります。
これが頭の重だるさやこめかみのつまり感、目の疲れなどとして現れると考えられています。
2. 清陽不昇(せいようふしょう)
本来、頭の方には「清陽の気」という軽く澄んだエネルギーが昇り、栄養と機能を保っているとされます。
ところが気の流れが悪くなったり、や疲労が重なると、この上昇がうまくいかなくなります。
結果として、頭がぼーっとする、スッキリしないといった『めぐっていない』感覚が出やすくなるのです。
3. 痰湿(たんしつ)の関与
水分代謝が悪くなると、粘り気のある「痰湿」が体内に溜まると考えます。
このネバネバとした性質を持つ『痰湿』が経絡の流れを悪くし、首肩や頭部の重だるさ・つまり感をさらに悪化させると考えられています。
このように、
脇の下のこり→首肩のめぐり悪化→頭部への清らかな気=エネルギーが不足する
という一連の流れが、東洋医学的な首から上のつまり感の背景にあるのです。
脇の下マッサージが有効とされる理由
脇の下、特にツボの極泉付近は、心経・心包経・肝経という3つのルートが集まる要所です。
ここをゆるめることで、以下のような効果が期待できます。
- 気滞の解消 → 胸・首・肩のめぐりが改善
- 血流・水分代謝の促進 → 頭部への清らかなエネルギーがめぐるを助ける
- 自律神経系の緊張緩和 → ストレス性のつまり感を軽減
首や肩そのものを揉むよりも、その上流にあたる脇の下からアプローチする方が、根本的なめぐりの改善につながりやすい―これが、東洋医学的な考え方の面白いところだと感じています。
おわりに
首から上のつまり感が続くと、つい首や肩、頭そのものをマッサージする方もいらっしゃいます。
しかし東洋医学の視点で見ると、その原因は少し離れた「脇の下」にあることも少なくありません。
一日の終わりに、脇の下を優しくほぐす時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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