ちゃんと寝たはずなのに、「今日疲れてる?」

〜舌でわかる「水のめぐり」と、今日からできる白湯習慣〜

「ちゃんと寝たはずなのに、『疲れてる?』と聞かれる」

「まぶたが重くて、顔がすっきりしない」……

腫れぼったい顔は老けて見えて、気持ちまでどんよりしてしまいますよね。

50代になって、こんな朝が増えたというご相談をよく伺います。

  • ✅朝の顔のむくみが、昼ごろまで抜けない
  • ✅朝いちばんに、冷蔵庫の冷たいお茶をごくごく飲んでいる
  • ✅1日の水分を、ペットボトルでまとめて一気に飲みがち
  • ✅夕方以降も、昼間と同じようにお茶やお水をペットボトルでたくさん飲む

ひとつでも当てはまる方は、『水の飲み方』を見直すタイミングかもしれません。

■ なぜ?

東洋医学:むくみは「水(すい)のめぐり」のサイン

東洋医学では、カラダをめぐるものを「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つで考えます。水とは、血液以外のカラダのうるおい全般のこと。

この水がうまくめぐらず、どこかにとどまっている状態を「水滞(すいたい)」と呼びます。朝の顔のむくみは、その代表的なサインのひとつです。

そして、水のめぐりの根っこのひとつが、胃腸=「脾(ひ)」の働き。

脾は、食べたもの・飲んだものから必要なうるおいを取り出し、全身に配る役目をしています。いわば、カラダの『水の配達係』のようなもの。

脾は「冷え」と「湿気」が苦手とされています。

冷たい飲み物
↓
脾が冷えて働きが落ちる
↓
水を配りきれない
↓
余った水がとどまる
↓
朝の顔のむくみ

脾がつくる「元気」の話は、「夕方のぐったり」の回でご紹介しています。

現代医学:冷たい飲み物と胃

冷たい飲み物は、思っている以上に胃の中を冷やします。

ある研究では、冷蔵庫で冷やしたくらいの冷たい飲み物(約4℃)を飲むと胃の中の温度が20℃ほどまで下がり、体温に戻るまで20〜30分かかったと報告されています。また、冷たい飲み物は体温に近い温度の飲み物に比べて、胃から送り出されるスピードがはじめはゆっくりになっていました。

つまり、朝いちばんの冷たいお茶は、起きたばかりの胃腸にとって「冷水シャワー」のようなものなんですね。

現代医学:朝むくみやすい理由

日中は立ったり座ったりしているため、水分は重力で足のほうにたまりやすくなります。一方、夜は横になっているので、水分が顔やまぶたのまわりにもとどまりやすくなるのです。

さらに、前の晩の塩分の多い食事やお酒、寝不足も、朝のむくみにつながりやすいとされています。

■ 結論

朝の顔のむくみの根っこは、
冷えて働きが落ちた胃腸かもしれません。

だから、水を「減らす」のではなく、「飲み方」を変える。それだけで、水のめぐりは整いやすくなります。

『気持ちのゆるみ』や『年齢のせい』ではありません。カラダが「ちょっと冷えてるよ」と教えてくれているサインなんです。

■ 今すぐどうするか?

✕朝いちばんに、冷蔵庫の冷たいお茶をごくごく飲む

○朝は、熱すぎない白湯をひと口ずつゆっくりと

眠っている間にも、汗や呼吸でカラダの水分は少しずつ失われています。起きたときの水分補給そのものは、とても大切です。

ポイントは「温度」と「スピード」。

  • ●白湯は、口に含んで「温かくて心地よい」と感じるくらい(目安は50〜60℃)
  • ●コップ1杯を、5〜10分かけてひと口ずつ
  • ●胃のあたりがじんわり温まるのを感じながら

※65℃を超えるような熱すぎる飲み物を習慣的に飲むことは、食道への負担になるとして、世界保健機関(WHO)の専門機関が注意を呼びかけています。「熱すぎない」が大切なんですね。

✕のどが渇いてから、ペットボトルで一気に飲む

○日中は、常温の水やお茶を少しずつ

一度にたくさん飲んでも、脾が配りきれなければ、余った水がとどまる原因になります。

  • ●1回にコップ半分〜1杯を目安に、こまめに
  • ●仕事や家事の区切りに「ひと口」を合図にする
  • ●冷蔵庫の飲み物は、飲む少し前に出して常温に

のどの渇きは、脱水が始まっている合図ともいわれます。渇く前に、少しずつがおすすめです。

○夜は「塩分ひかえめ」と「寝る前の飲みすぎ」に気をつける

  • ●夕食の汁物は1杯まで、漬物や加工品は少なめに
  • ●お酒は量を決めて、白湯や水を合間に
  • ●寝る直前のがぶ飲みは控えて、ひと口ずつ

夜の水分のとり方は、「夜中に何度もトイレで目が覚める50代へ」の回もあわせてどうぞ。

薬膳のひと工夫:胃腸を温めて、水をめぐらせる

薬膳では、カラダを温めながら余分な水をさばく食材が使われてきました。いつもの飲み物や料理に、ほんの少し足すだけでも◎

  • ●しょうが:白湯に少量のすりおろしやスライスを。胃腸を温める代表選手
  • ●黒豆茶:香ばしく、カフェインを気にせず飲める
  • ●とうもろこしのひげ茶(南蛮毛):むくみやすい方の養生茶として親しまれてきた
  • ●ねぎ:お味噌汁や鍋に。カラダを内側から温める

※食材はあくまで日々の養生として取り入れるものです。

舌でわかる「水のめぐり」セルフチェック

同じお化粧をしていても「今日は顔がむくんでるな〜」と感じた朝、私がやるのは『舌チェック』です。

洗顔のついでに、歯みがき前の舌を鏡で見てみてください。

  • ✅舌のコケ(舌苔:ぜったい)が白く、厚くついている
  • ✅舌がぼてっと大きい
  • ✅舌のふちに、ギザギザの歯のあとがある

当てはまる方は、水のめぐりが悪くなっているサインかもしれません。

東洋医学では、ぼてっと大きな舌を「胖大舌(はんだいぜつ)」、歯のあとがついた舌を「歯痕舌(しこんぜつ)」と呼び、余分な水がとどまっているサインと考えます。

自宅でできる舌チェックのやり方

【いつ見る?】

  • ●朝起きて、歯みがき・食事・飲み物の前に
  • ●毎日だいたい同じタイミングで見ると、変化に気づきやすい
  • ●食後すぐや、コーヒー・紅茶・カレー・色の濃いあめなどのあとは、コケに色がつくので避ける

【どこで見る?】

  • ●窓ぎわの自然光がいちばん。夜や暗い洗面所なら、白っぽい照明の下で
  • ●オレンジ色の照明は、舌が赤く見えやすいので注意

【どう出す?】

  • ●口を大きく開けて、力を抜いて舌を「べー」っと前へ
  • ●見るのは5〜10秒ほど。長く出し続けると舌の色が変わってくるので、一度しまってからもう一度

【どこを見る?】

  • ●形と大きさ:口の幅いっぱいに広がるくらい、ぼてっとしていないか
  • ●ふち:両側にギザギザの歯のあとがないか
  • ●コケ:色(白・黄色)、厚さ(下の舌の色が透けて見えるか)、湿り具合(しっとり・べたっと・乾いている)

【記録してみる】

  • ●スマホで、同じ場所・同じ明るさで撮っておくと、1週間ごとに見比べられます
  • ●白湯を始めた日の舌と比べてみるのもおすすめです

舌のタイプ別・水の飲み方

同じ「むくみ」でも、舌を見ると、水との付き合い方が少しずつ違ってきます。

【白く厚いコケ+ぼてっと大きい・歯のあと】

冷えて胃腸の働きが落ち、水がとどまっているタイプ。

→ 白湯や温かい飲み物を中心に。冷たいもの・生ものは控えめに。しょうがやねぎを少し足して。

【黄色っぽく、べたっとしたコケ】

とどまった水が、こもって熱をおびているタイプ。

→ 脂っこいもの・甘いもの・お酒を少しお休み。飲み物は熱いものより常温を少しずつ。

【コケが少なく、舌が赤っぽい・乾きぎみ】

水が「余っている」のではなく、うるおいが「足りない」タイプ。

→ 水分をがまんしないことが大切。常温の水や白湯を、こまめに少しずつ。

うるおい不足のお話は、胸のザワザワ第4回「夜になるとザワザワするのは、『うるおい』が減っているサインかも」でご紹介しています。

舌はとても正直。コケの色や厚みは、数日で変わることもあります。白湯を続けてみて、舌の変化を楽しんでみてくださいね。

※舌みがきは、舌ブラシなどでやさしく。強くこすると舌を傷めることがあります。

漢方という後押し

整えていくのは、もともと備わっているご自身の力。漢方薬は、その力を引き出す後押し役です。

東洋医学では、胃腸を温めて働きを助ける考え方の処方や、とどまった水のめぐりを助ける考え方(利水:りすい)の処方が使われてきました。ただ、冷えが強い方、胃腸が疲れている方、うるおいが足りない方など、根っこは人それぞれです。

※漢方薬も医薬品です。体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。現在病気の治療中の方や、お薬を服用中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。

こんなときは、まず医療機関へ

  • ●むくみが夕方になっても引かない、日に日に強くなる
  • ●指で押すと、へこんだ跡がしばらく残る
  • ●顔だけでなく、足にもむくみがあり、体重が急に増えた
  • ●息切れや動悸がある、尿の量が減った・泡立つ
  • ●寒がりになった、肌の乾燥、だるさ、声のかすれなどが続く
  • ●大きないびきや、日中の強い眠気がある(舌の歯のあとは、睡眠中の呼吸の状態と関係があるという報告もあります)
  • ●新しいお薬を飲み始めてからむくむようになった(甘草:かんぞうを含む漢方薬でも、むくみや血圧の上昇が起こることがあります)

むくみの陰に、腎臓・心臓・甲状腺の病気や、お薬の影響が隠れていることもあります。

※腎臓や心臓の病気で、医師から水分の量を指示されている方は、必ずその指示を守ってください。

最後に、相談という手があります

舌は、毎朝カラダが届けてくれる『お便り』のようなもの。

でも、そのお便りの読み方は、人それぞれ違います。

はんなり堂薬局では、舌の様子やお話をじっくり伺いながら、あなたに合った養生法や漢方を一緒に考えています。

まずは明日の朝、白湯をひと口。
そして、鏡の前で「べー」っと舌を出してみてください。

すっきりした顔で迎える朝を、一緒に増やしていきましょう。

だから、大丈夫。

※この記事は一般的な情報をお伝えするもので、診断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。

和歌山県岩出市

『心と体に寄り添う』
更年期世代の女性のためのプライベート相談薬局

不調の根っこ探しで、安心が見つかる。

明日から、もっと自分を幸せにする、
あなただけの養生法を見つけましょう。

はんなり堂薬局 石津あいこ

参考

  • 日本東洋医学会 学術教育委員会 編『専門医のための漢方医学テキスト』南江堂, 2010.
  • Sun WM, et al. Effect of meal temperature on gastric emptying of liquids in man. Gut. 1988;29:302-305.
  • Loomis D, et al. Carcinogenicity of drinking coffee, mate, and very hot beverages. Lancet Oncol. 2016;17:877-878.
  • 「健康のため水を飲もう」推進委員会(環境省ウェブサイト)
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「眼瞼腫脹の主な原因」
  • Weiss TM, et al. Otolaryngol Head Neck Surg. 2005;133:966-971.
  • 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」

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