更年期の肌のゴワつき、なぜ起こる?|肌のしくみと洗い方、漢方の「根っこ」

はんなり堂薬局薬剤師コラム|更年期と肌

更年期の肌のゴワつき、なぜ起こる?
肌のしくみから見直す「洗い方」と「根っこ」

「お気に入りの化粧品を使っているのに、あと一歩、理想の肌に届かない」「最近、肌を触るとゴワゴワする」。更年期世代の女性から、こうしたお悩みをよく伺います。

やっと自分に合うと思える化粧品に出会えたのに、もう少しのところで手ごたえが足りない。もどかしいですよね。

この記事では、その理由を肌のしくみからイラストで説明し、今日からできる洗い方と、漢方の視点からの体の内側の見直し方をお伝えします。

この記事のポイント
  • 更年期の肌のゴワつきは、化粧品ではなく肌そのものの変化が原因のことがあります。
  • 女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、コラーゲンや皮脂が減り、肌のバリアが弱まりやすくなります。
  • 外からのケアはそのままに、「洗い方」と体の内側の「根っこ」を見直すことが、あと一歩の手がかりになります。

なぜ、お気に入りの化粧品でも「あと一歩」届かないの?

その理由は、化粧品ではなく、肌そのものの変化にあるかもしれません。閉経の前後で女性ホルモンが減ると、肌の奥ではハリを支えるコラーゲンが、表面ではうるおいを守る皮脂が少なくなっていきます。

土台と守りの両方が変わるため、これまでと同じケアでは手ごたえが変わって感じられるのです。

まずは、肌がどのようにうるおいを守っているのかを見てみましょう。

肌のしくみ:うるおいを守る層の重なり

肌は、表面から順に「皮脂膜」「角層」「表皮」「真皮」「皮下組織」が重なってできています。

いちばん外側の角層は、食品用ラップ1〜2枚ほど(約0.02mm)のとても薄い層ですが、体の水分を逃がさず、外からの刺激を防ぐ「バリア」の役目を担っています。

その奥の真皮では、コラーゲンなどの線維が網目をつくり、肌のハリを支えています。

肌の断面図。上から皮脂膜、角層、表皮、真皮、皮下組織 皮脂膜表面をおおう天然のクリーム 角層(バリア)水分を守り、刺激を防ぐ 表皮新しい細胞が生まれ、押し上げられて角層に 真皮 〰 コラーゲン(ハリ) ┄ エラスチン(弾力) ● ヒアルロン酸(水分) 皮下組織
図1 肌の断面(イメージ)。外側の皮脂膜と角層がうるおいを守り、奥の真皮がハリを支えています。

角層のバリアは「レンガとモルタル」

角層は、よく「レンガとモルタル(レンガをつなぐセメント)」にたとえられます。レンガにあたるのが角質細胞で、中に天然保湿因子(NMF)を抱えて水分を保っています。

モルタルにあたるのが細胞間脂質で、その約半分をセラミドが占め、レンガのすき間を埋めて水分の蒸発を防いでいます。さらに、その表面を皮脂膜が薄くおおい、天然のクリームのように守っています。

熱いお湯や洗いすぎで皮脂膜や細胞間脂質が流れ出ると、すき間から水分が逃げ、外からの刺激も入りやすくなります。

角層が乾いて硬くなり、はがれ方も乱れるため、手ざわりのゴワつきや、化粧品のなじみにくさとして感じられることがあります。

うるおった角層と乾燥した角層の比較図 ○ うるおっている角層 皮脂膜 角質細胞(レンガ)中にNMF=水分 細胞間脂質(モルタル)約半分がセラミド 刺激をはね返す ✕ 乾燥した角層 皮脂膜がとぎれる すき間ができる ↑ 水分が逃げる ↓ 刺激が入りやすい → ゴワつき・かゆみ 熱いお湯・洗いすぎ・こすりすぎ・乾燥・加齢などで起こりやすくなります
図2 角層の「レンガとモルタル」構造(イメージ)。Elias PM(1983)が提唱したモデルをもとに作図。

エストロゲンが減ると、肌に何が起こる?

女性ホルモンのエストロゲンは、肌のハリを生み出す真皮の細胞(線維芽細胞)にも働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸を保つことに関わっています。

そのため閉経の前後でエストロゲンが減ると、肌のコラーゲンも減っていきます。閉経後の最初の5年間でおよそ3割減り、その後もゆるやかに減り続けるという報告があります。

あわせて、皮脂の分泌も年齢とともに少なくなり、閉経後はさらに減ることが知られています。また、肌の細胞が入れ替わるスピード(ターンオーバー)も、年齢とともにゆっくりになります。

奥の土台(コラーゲン)と表面の守り(皮脂)の両方が変わる。これが、更年期に「急に肌が変わった」と感じやすい理由の一つです。

閉経後の年数と肌のコラーゲン量の変化のイメージ図 1007040 コラーゲン量(閉経時を100とした目安) 閉経5年10年15年20年 閉経後の年数 最初の5年で約3割減 エストロゲンの低下と関連 その後も、年に約2% ずつゆるやかに減る
図3 閉経後のコラーゲン量の変化(イメージ図。数値の目安はBrincatら、Thornton(2013)の総説より)。個人差があります。

顔だけではありません。首や体も同じです

皮脂が減って乾きやすくなるのは、顔だけでなく首や体も同じです。冬になると、すねや背中、腰まわりがかゆくなる方は少なくありません。

皮脂が減って乾燥した状態は「皮脂欠乏症(乾皮症)」と呼ばれ、中高年に多くみられます。

ナイロンタオルでのゴシゴシ洗い、熱いお風呂、長風呂は悪化させる原因として挙げられ、手でやさしく洗うこと、入浴後すぐに保湿することがすすめられています(日本皮膚科学会)。

洗い方の見直しは、皮膚科でもすすめられている乾燥対策の基本です。顔と同じように、体も「落としすぎない」ことを意識してみましょう。

漢方の視点:肌は体の内側を映す鏡

漢方では、肌は体の内側の状態を映す鏡と考えます。肌のうるおいを支えるのは、栄養とうるおいを全身に届ける「血(けつ)」です。

血が不足したり、めぐりが滞ったりすると、肌に栄養が届きにくくなり、乾燥やカサつきとして表に出やすいと考えられています。

表に出ているゴワつきは、木でいえば葉にあらわれたサインです。葉だけを手入れしても、なかなか元気にならないことがあります。漢方で、その奥にある「根っこ」に目を向けるのはそのためです。

肌の不調を木の葉、体の内側を根っこにたとえた図 葉=肌 ゴワつき・乾燥 (表に見えるサイン) 外からのケア 化粧品・洗い方 ・保湿・紫外線対策 根っこ 血(けつ)・めぐり 睡眠・休息 食事・体質
図4 漢方の「根っこ」の考え方(イメージ)。表のケアと内側の見直しは、どちらか一方ではなく両輪です。

そして、肌を整えていくのは、もともと体に備わっているご自身の力です。漢方薬は、その力をグッと引き上げてくれる後押し役です。

同じゴワつきでも、冷えやすい方、疲れやすい方、ほてりやすい方など、体質によって合う漢方薬は一人ひとり違います。だからこそ、体質に合ったものを選ぶことが大切です。

今すぐどうするか? 洗い方を見直しましょう

もし、これをやっていたら今すぐやめて!

  • 熱いお湯で顔を洗う、シャワーを直接顔に当てる皮脂膜まで溶かして落としてしまいます。
  • 洗顔やタオルでゴシゴシこする摩擦は角層を傷め、乾燥やくすみの原因になります。
  • ナイロンタオルで体を毎日ゴシゴシ洗うすねや背中のかゆみ(皮脂欠乏症)を悪化させる原因になります。
  • 熱いお風呂に長くつかる
  • お風呂のあと、保湿までしばらく放っておく入浴後の肌からは、水分がどんどん逃げていきます。
  • ゴワつきが気になって、スクラブやピーリングを頻繁に使う角層を削りすぎると、かえってバリアが弱まり乾燥しやすくなります。
  • 秋だからと日焼け止めをやめる紫外線(UVA)は季節による差が小さく、真皮のコラーゲンを傷める光老化の主な原因の一つです。

かわりに、これを始めましょう

やさしい洗顔の4つのステップ 1234 ぬるま湯 32〜34℃くらい 手で触れて少しぬるいと感じる温度 泡を乗せるだけ 手は肌にふれず、10〜20秒ほど ぬるま湯ですすぐ 泡が残らないように、やさしく 押さえて拭き、すぐ保湿 タオルはこすらず、そっと当てる
図5 やさしい洗顔の4ステップ。洗浄料が汚れを浮かせるので、こすらなくても汚れは落ちます。
  • 洗顔は32〜34℃くらい、手で触れて少しぬるいと感じる温度で
  • 洗顔料はしっかり泡立て、泡を肌に乗せるだけ
  • 洗顔後につっぱる方は、朝はぬるま湯だけでもOK。小鼻やおでこなどベタつく部分だけ洗顔料を
  • 体は、泡立てた石けんを手でなでるように。汗や皮脂の多い部分を中心に洗えば十分です
  • お風呂は38〜40℃くらいのぬるめで
  • 顔も体も、お風呂上がりは時間をあけずに保湿
  • 秋冬も日焼け止めを続ける
  • たんぱく質と睡眠をしっかり、室内は加湿を

かゆみや乾燥に悩みにくい冬を、今から目指しましょう。

よくある質問

朝の洗顔は、ぬるま湯だけでもいいですか?

洗顔後に肌がつっぱる方には、試してみる価値のある方法です。夜に洗顔していれば、寝ている間につく汚れは主に汗と少しの皮脂で、多くはぬるま湯で落ちます。

ただし、直接比べた質の高い研究は少ないため、肌の状態を見ながら試してみてください。

ニキビができやすい方や、夜に油分の多いクリームをたっぷり使う方は、洗顔料を使ったほうがよい場合があります。

乾燥肌でも、小鼻やおでこだけ洗顔料で洗っていいですか?

かまいません。顔の中でも、おでこや鼻(Tゾーン)は皮脂腺が多く、頬や目元は皮脂が少ないことが知られています。

泡はTゾーンにだけ乗せ、頬や目元はぬるま湯ですすぐだけにし、洗ったあとは顔全体を保湿しましょう。

泡は乗せるだけで、本当に汚れが落ちますか?

はい。洗浄料の成分(界面活性剤)が皮脂汚れを浮かせるので、こすらなくても汚れは落ちます。

反対に、ゴシゴシこする摩擦は角層を傷め、乾燥やくすみ、色素沈着の原因になります。

「ぬるま湯」は何度くらいですか?

洗顔は32〜34℃くらいが目安です。顔の皮膚の表面温度に近く、皮脂を落としすぎにくい温度として皮膚科医の解説などで広く紹介されています。

学会のガイドラインで決められた数字ではないため、「手で触れて少しぬるい」と感じる程度を目安にしてください。

お風呂のお湯やシャワーをそのまま顔に使うと、洗顔には熱すぎることが多いので注意しましょう。

洗顔料より石けんのほうがいいですか?

どちらがよいとは言い切れません。石けんはアルカリ性(pH9〜10ほど)で、弱酸性(pH5前後)の肌に一時的に負担をかけやすいという報告があります。

一方で、合成の洗浄料にも洗浄力の強いものがあります。乾燥が気になる方は、石けんか洗顔料かよりも、刺激の少ないものを選び、洗い方を見直すことのほうが大切です。

今お使いのもので肌の調子がよければ、無理に変える必要はありません。

最後に、相談という手があります。

お気に入りの化粧品で外から整えながら、体の内側からも見直してみるのも一つの方法です。漢方薬は体質に合わせて選ぶものなので、漢方に詳しい薬剤師や医師に相談すると、ご自身に合うものを一緒に考えてもらえます。

かゆみや赤み、湿疹が強いとき、保湿を続けてもよくならないときは、皮膚科の受診をおすすめします。

参考にした文献・資料

  1. Thornton MJ. Estrogens and aging skin. Dermatoendocrinol. 2013;5(2):264-270.
  2. Brincat M, et al. Skin collagen changes in postmenopausal women receiving different regimens of estrogen therapy. Obstet Gynecol. 1987;70(6):840-845.
  3. Elias PM. Epidermal lipids, barrier function, and desquamation. J Invest Dermatol. 1983;80 Suppl:44s-49s.
  4. Grove GL, Kligman AM. Age-associated changes in human epidermal cell renewal. J Gerontol. 1983;38(2):137-142.
  5. Ananthapadmanabhan KP, et al. Cleansing without compromise: the impact of cleansers on the skin barrier and the technology of mild cleansing. Dermatol Ther. 2004;17 Suppl 1:16-25.
  6. Lambers H, et al. Natural skin surface pH is on average below 5, which is beneficial for its resident flora. Int J Cosmet Sci. 2006;28(5):359-370.
  7. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 乾皮症」
  8. 日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き 2021」
  9. 環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」
  10. 日本東洋医学会 編『専門医のための漢方医学テキスト』南江堂

この記事は一般的な情報をお伝えするもので、診断や治療に代わるものではありません。症状や体質には個人差があります。気になる症状があるときは、医師や薬剤師にご相談ください。

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