〜「頼れない」を抱えてがんばる50代のあなたへ〜
「なんだか胸がザワザワして、落ち着かない」
「やることはあるのに、目の前のことに集中できない」
「理由はわからないけれど、ソワソワする」……
そんなこと、ありませんか?
ご相談でじっくりお話を聞いていると、このザワザワを抱えている方には、ある共通点があります。
それは、「人に頼ってはいけない」と思いながら
生きてきたこと。
今日は、この胸のザワザワを東洋医学の視点からひもときながら、「これは病院で診てもらったほうがいい?」と迷ったときの目安もあわせてお伝えします。
「私がしっかりしなきゃ」で生きてきた方へ
小さい頃に「人に迷惑をかけてはいけない」「自分のことは自分でしなさい」と言われて育った方。
あるいは、誰かに言われたわけではなくても、周りに合わせていく中で「私がしっかりしなきゃ」と、自然と思い込んできた方。
本当に多くいらっしゃいます。
仕事、家事、子どものこと、親のこと。
気づけば、いつも自分は後回し。
そんな毎日を何十年も続けてきたカラダが、50代になって「ザワザワ」という形で何かを伝えようとしている――。
そう考えてみると、このザワザワの見え方が少し変わってきませんか?
東洋医学で見る「胸のザワザワ」
東洋医学では、胸のあたりに「心(しん)」があると考えます。
ここでいう心は、心臓のように血をめぐらせる役割だけではありません。
「神(しん)」――つまり意識や思考、感情の落ち着きを宿す場所とされているんですね。
中国の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には、心は五臓六腑をまとめる君主のような存在であり、精神が宿るところ、という考え方が記されています。
心が穏やかでいられるためには、神が安心してとどまれる『居場所』が必要です。
その居場所をつくっているのが、心なのです。
ところが、緊張や我慢が続いて心の調和が乱れると、神は落ち着く場所を失って、ふわふわと揺れ始めます。それが、
「胸のザワザワ」
「集中できない」
「理由のわからないソワソワ」
という感覚になって現れる、と考えられています。
現代的な視点から見ると
胸のザワザワは、現代医学の言葉でいえば、自律神経のバランスと深く関わっていると考えられます。
緊張した状態が続くと、自律神経のうち「戦うモード」の交感神経が優位になりやすく、心拍が速くなったり、呼吸が浅くなったりします。
また50代前後は、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく減っていく時期。ホルモンの変化は自律神経にも影響しやすく、動悸やほてり、不安感などが出やすくなることが知られています。つまり、
- ✅長年の「頑張りぐせ」による緊張
- ✅更年期のホルモンの変化
この2つが重なりやすいのが、まさに今の年代なんですね。
これは『気持ちの弱さ』ではありません。
カラダの仕組みとして、誰にでも起こりうる変化です。
こんなときは、まず専門の医療機関へ
ただし、胸のザワザワや動悸の中には、心臓などの病気のサインが隠れていることもあります。
不安をあおりたいわけではありません。
「何もなかった」と確かめることも、立派なセルフケアのひとつです。
すぐに救急車(119番)を呼んでほしいとき
- ●胸の真ん中が締めつけられる、押しつぶされるような強い痛みや圧迫感が、15〜20分以上続く
- ●胸の痛みとともに、冷や汗、吐き気、息苦しさがある
- ●痛みが左肩・腕、あご、背中、みぞおちに広がる
- ●意識が遠のく、気を失った
心筋梗塞などは、時間との勝負とされています。「大げさかも」と我慢せず、迷ったら119番に電話してください。
早めに循環器内科を受診してほしいとき
- ●階段や坂道、急ぎ足のときに胸が痛む・苦しくなり、休むとおさまる
- ●脈が飛ぶ、脈がバラバラに乱れる感じがくり返し起こる
- ●安静にしていても、急に脈が速くなる動悸が続く
- ●動悸とともに、めまいやふらつきがある
- ●以前より息切れしやすい、足がむくむ
女性は更年期以降、エストロゲンによる血管を守るはたらきが弱まり、心臓や血管の病気のリスクが高まるとされています。
また女性の心臓の病気は、典型的な胸の痛みではなく、
「なんとなく胸が重い」
「背中や肩が痛い」
「吐き気がする、ひどく疲れる」
といった、わかりにくい症状で現れることがあると報告されています。
「更年期のせいかな」と思っても、気になる症状があれば一度確かめておくと安心です。
ほかの診療科が合う場合も
→ 甲状腺の病気のことも(内科・内分泌内科)
→ 婦人科(更年期外来)
→ 心療内科・精神科
どこに行けばいいか迷ったら、まずはかかりつけ医や、私たち薬剤師に気軽にご相談ください。
今日からできること
病院で「心配ない」とわかったザワザワは、カラダからの大切なメッセージ。
まずは今日、ザワザワしたら胸にそっと手をあてて、
「いま、落ち着かないんだな」
と気づいてあげるだけで大丈夫。そして、
- ●手をあてたまま、ゆっくり息を吐く
- ●「今日もよくがんばったね」と、自分に声をかける
- ●ザワザワした時間や場面を、手帳やスマホにひと言メモしておく
メモが少したまると、「夕方に多い」「誰かに気をつかった後に多い」など、自分のザワザワのパターンが見えてきます。
気づくことが、根っこ探しの第一歩です。
次回からは、ザワザワのタイプを一緒にひもといていきましょう。
ザワザワの「根っこ」を、一緒に探しませんか
同じ「胸のザワザワ」でも、気のめぐり、血の不足、うるおいの不足など、根っこは人によって違います。
根っこが違えば、整え方も、選ぶ漢方も変わります。
はんなり堂薬局では、お話をじっくり伺いながら、あなたの体質に合った養生法や漢方を一緒に考えています。
ひとりで抱えず、どうぞ気軽にお話しにいらしてくださいね。
だから、大丈夫。
※漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。現在病気の治療中の方や、お薬を服用中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。
※この記事は一般的な情報をお伝えするもので、診断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。
和歌山県岩出市 更年期世代の女性のためのプライベート相談薬局
心と体に寄り添う
不調の根っこ探しで、安心が見つかる。
明日から、もっと自分を幸せにする、
あなただけの養生法を見つけましょう。
はんなり堂薬局 石津あいこ
参考
- 日本循環器学会ほか「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」
- 日本循環器学会ほか「2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「狭心症・心筋梗塞」「更年期障害」
- Mehta LS, et al. Acute Myocardial Infarction in Women: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2016;133:916-947.
- 『黄帝内経』素問・霊蘭秘典論、霊枢・邪客篇
