50代女性の思い悩みと、カラダを養う薬膳

〜50代女性の思い悩みと、カラダを養う薬膳〜

「考えごとが頭から離れない」

「布団に入っても眠れず、眠れても夢ばかり見る」……

そんな方の胸のザワザワは、心(しん)を養う血(けつ)が足りないタイプかもしれません。

  • ✅物忘れが増えた、動悸がすることがある
  • ✅顔色がさえない、疲れやすい
  • ✅食欲がない、お腹がゆるみやすい

考えすぎてしまうのは、
性格のせいではありません。

まずは「胃腸を労わって、血を養う」ことから始めてみましょう。

東洋医学で見る「考えすぎ」と「血の不足」

中国の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には「思は脾を傷(やぶ)る」と記されています。思い悩みすぎると、脾(ひ)=胃腸のはたらきが弱る、という意味です。

脾は、食べたものから気と血を作り出す『工場』のような存在。そして血は、意識や感情の落ち着きを宿す心(しん)を養っています。

ひとりで抱え込む
↓
思い悩む
↓
脾(胃腸)が疲れる
↓
血が作れない
↓
心が養われない
↓
さらに考えごとが止まらない

この、ぐるぐるの悪循環を「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」と呼びます。

現代医学から見ると

東洋医学の「血の不足(血虚(けっきょ))」は、西洋医学の貧血とイコールではありません。ただ、顔色がさえない、疲れやすい、動悸がするなど、重なる症状も多くあります。

50代前後は月経の量が増えたり不規則になったりしやすく、国の食事摂取基準でも、月経のある女性は、ない女性より多くの鉄が必要とされています。「疲れやすいのは年齢のせい」と思っていたら、鉄が不足していた、ということもあるんです。

また睡眠医学では、寝る前の心配ごとや反すう(同じことをくり返し考えること)が、寝つきの悪さと関係すると考えられています。

薬膳の視点から:「養う」食材

ナツメ(大棗・たいそう)

性質温、味は甘
はたらき脾(胃腸)の気を補い、血を養い、ココロを落ち着かせるとされる
ひとこと中国には「1日3粒のナツメで老いを知らず」という言い伝えも

小松菜・ほうれん草

小松菜(生)鉄 2.8mg、カルシウム 170mg(100gあたり)
ほうれん草(生)鉄 2.0mg、葉酸 210μg(100gあたり)
ポイント植物性の鉄は、ビタミンCや肉・魚・卵などのたんぱく質と一緒にとると吸収されやすくなります

数値は日本食品標準成分表(八訂)より

卵

栄養たんぱく質、鉄、ビタミンB12など
薬膳卵黄は血を養うとされる。小松菜やほうれん草と合わせると◎
ちょっとした注意
食事と一緒に濃い緑茶・紅茶やコーヒーを飲むと、タンニンなどのポリフェノールが植物性の鉄と結びつき、吸収が下がることが研究で示されています。鉄を意識したい食事のときは、お茶は食後1時間ほどあけてからがおすすめです。

今日からできること

すでにしていることに、ほんの少し工夫を足すだけで大丈夫です。

1. いつもの食事に「養う」食材をひとつ

  • ●味噌汁に小松菜と卵を落とす
  • ●おかゆやスープ、ヨーグルトにナツメを2〜3粒

2. よく噛んで、温かいものを

  • ●ひと口ごとに箸を置いて、「ながら食べ」をやめて味わう

3. 寝る前に、頭の中を紙に出す

  • ●気になっていることや明日やることを5分ほど書き出し、「今日はここまで」とノートを閉じる

寝る前に「明日やることリスト」を書いた人は、その日にやり終えたことを書いた人より早く眠りについた、という研究もあります。

4. 23時までに布団へ

  • ●東洋医学では、横になると血は肝(かん)に戻って蓄えられるとされています。夜はカラダが血を養う時間です。

こんなときは、医療機関へ

物忘れで日常生活に支障がある、同じことを何度も聞く
→ かかりつけ医、もの忘れ外来
動悸が続く、脈が乱れる、めまいや息切れをともなう
→ 循環器内科(強い胸の痛みや冷や汗があるときは、迷わず119番)
顔色が悪い、月経の量が多い
→ 内科・婦人科(血液検査で貧血を確認できます)
眠れず日中に支障がある、大きないびきや睡眠中の呼吸の停止を指摘された
→ 内科・睡眠外来
気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が2週間以上続く
→ 心療内科・精神科

考えすぎるあなたに、漢方という支え

思い悩みで胃腸と心が疲れた状態には、昔から「脾を補い、血を養い、ココロを落ち着かせる」考え方の処方が使われてきました。ただ、根っこは人それぞれ。

はんなり堂薬局の漢方相談では、お話をじっくり伺いながら、あなたの体質に合った養生法や漢方を一緒に考えていきます。考えすぎて眠れない日が続くときは、ひとりで抱え込まずにご相談くださいね。

いつも誰かのことを考えてきた、やさしいあなた。
今日は少しだけ、自分のカラダのことを考えてあげてください。

だから、大丈夫。

※漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。現在病気の治療中の方や、お薬を服用中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。

※食材は、あくまで日々の食生活の工夫としてお取り入れください。

※この記事は一般的な情報をお伝えするもので、診断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。

和歌山県岩出市

『心と体に寄り添う』
更年期世代の女性のためのプライベート相談薬局

不調の根っこ探しで、安心が見つかる。

明日から、もっと自分を幸せにする、
あなただけの養生法を見つけましょう。

はんなり堂薬局 石津あいこ

参考

  • 『黄帝内経』素問・陰陽応象大論
  • 厳用和『済生方』
  • 『中華人民共和国薬典』大棗
  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」「貧血」
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
  • Scullin MK, et al. J Exp Psychol Gen. 2018;147:139-146.
  • Hurrell RF, et al. Inhibition of non-haem iron absorption in man by polyphenolic-containing beverages. Br J Nutr. 1999;81:289-295.
  • Ahmad Fuzi SF, et al. A 1-h time interval between a meal containing iron and consumption of tea attenuates the inhibitory effects on iron absorption. Am J Clin Nutr. 2017;106:1413-1421.
  • Harvey AG. A cognitive model of insomnia. Behav Res Ther. 2002;40:869-893.

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