「栄養失調になるよ〜」
その一言が胸にグサリ
久しぶりに会った友だちとのランチ。話がはずんで楽しいのに、私のお皿だけまだ半分残ってる。
「え、それだけ? 栄養失調になるよ〜」
冗談だってわかってる。でも、その言葉が胸にグサリ。
これでも毎日3食、ちゃんと食べてる。ただ、すぐお腹いっぱいになっちゃうだけ。
そんな方に、今日は「たくさん食べればいい、じゃない」というお話です。
食べた分が、全部栄養になるわけじゃない
食べたものは、胃や腸で消化されて、はじめて体に吸収されます。胃腸が疲れているときや、もともと少しでお腹いっぱいになる体質の方が、無理をしてたくさん食べても、消化が追いつきません。
食べられる量には、背の高さや足のサイズと同じように個人差があります。少食は「悪いこと」ではなく、その人の個性のひとつです。
消化しきれないと…
吸収されずに腸へ流れていき、腸の中で発酵して、ガスやお腹の張り、下痢の原因になることがあります。胃もたれで次の食事が入らなくなることも。
頑張って食べたのに、かえって体調をくずしてしまうんです。
体に必要な分を超えると…
使いきれなかったエネルギーは、脂肪としてためこまれます。とくに筋肉が少なく、あまり動かない状態だと、体重が増えても筋肉ではなく脂肪がつきやすく、「腕や脚は細いのに、お腹だけぽっこり」ということにもなりがちです。
だから、量を増やすことより、「食べられる量の中で、体に必要なものをしっかり摂る」ことが大切なんです。
太りたいわけじゃない。健康でいたい
「太れない」と悩んでいても、ぽっちゃりしたいわけじゃない。
今の体重をキープして、肌も髪も体も元気でいたい。疲れにくい体でいたい。
そう思っている方が多いのではないでしょうか。
目指したいのは「数字を増やすこと」ではなく、筋肉や体力を落とさずに、健康的な体重を保つこと。そのカギになるのが、毎日の食事の「中身」です。
たくさん食べる=元気、じゃない
必要な量は、年齢や体の大きさ、どれくらい動くかで人それぞれ。必要以上に食べれば、かえって体の負担になります。
大事なのは、量より「自分の体に必要な分を摂れているか」です。
一方で、年齢を重ねると、やせすぎは筋力の低下にもつながります。国の基準では、目標とするBMIは50〜64歳で20.0〜24.9、65歳以上で21.5〜24.9と、若い世代より少し高めに設定されています。
量が少なくても、中身で補う
食べる量が減ると、とくに不足しやすいのが、筋肉や肌・髪の材料になるたんぱく質です。
国の基準(日本人の食事摂取基準 2025年版)では、50歳以上の女性のたんぱく質の推奨量は1日50g。少食の方は、意識しないとなかなか届きません。
- ひと口目は、おかず(たんぱく質)から
- 卵、豆腐、納豆、魚、ヨーグルトなど、少量でも食べやすいものを1品
- 一度にたくさん食べられないなら、間食で少しずつ足す
- 苦手なものは無理に食べなくていい。食べられるものから選ぶ
あわせて、散歩など体を少し動かすと、摂った栄養が筋肉として使われやすくなります。
こんなときは、まず病院へ
- 6か月で体重が5%以上、思い当たる理由なく減った
- 下痢や腹痛が続く、便に血がまじる
- 食べられない日が続く、吐いてしまう
何科に行けばいいか迷ったら、まずはかかりつけの内科で大丈夫です。
✿ 今日できること
今日の食事で、たんぱく質のおかずを「1品だけ」意識してみましょう。
朝なら卵1個、お昼なら豆腐やチーズをひとつ足すだけでも十分です。
無理せず、できることから
「たくさん食べなきゃ」と自分を責めなくて大丈夫。たくさん食べられない方は、食べられるものから、しっかり栄養を摂ればいいんです。
はんなり堂薬局では、ご飯をおいしく食べて、健康的に体重を保ちたいというご相談もお受けしています。食事の量や胃腸の調子など、気軽にお話しください。
はんなり堂薬局 薬剤師 石津 あいこ
参考
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
・Cederholm T, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition. Clin Nutr. 2019
