〜50代女性のほてり・寝汗と、カラダを潤す薬膳〜

〜50代女性のほてり・寝汗と、カラダを潤す薬膳〜

「夕方から夜にかけて、なぜかザワザワが強くなる」

「寝つきが悪くて、夜中に目が覚める」……

そんな方は、うるおいが減って熱がこもるタイプかもしれません。

  • ✅手足のほてり、寝汗
  • ✅口や目が乾きやすい
  • ✅顔がカーッと熱くなることがある

これは、年齢を重ねると誰にでも起こる自然な変化。あなたのせいではありません。

大切なのは、熱を「冷ます」ことより、
うるおいを「補う」こと。

東洋医学で見る「夜のザワザワ」

腎のうるおいは、心の熱のブレーキ役

東洋医学では、生命力を宿す「腎(じん)」の力は、年齢とともにゆるやかに減っていくとされています。『黄帝内経(こうていだいけい)』には、女性は49歳ごろ(七七)に月経が終わる、と記されています。

腎には、カラダを潤す「陰(いん)」のはたらきがあり、心(しん)の熱を静めるブレーキ役でもあります。このブレーキが弱まると、心の熱が冷めにくくなり、胸がざわついたり、眠りが浅くなったりしやすいのです。

腎のうるおい(陰)が減る
↓
心の熱を静めるブレーキが弱まる
↓
胸のザワザワ・ほてり・浅い眠り

この状態を「心腎不交(しんじんふこう)」と呼びます。本来、水(腎)と火(心)が支え合ってバランスをとっているところが、うまく交わらなくなった状態です。

なぜ「夕方から夜」に強くなるの?

東洋医学では、昼は「陽」、夜は「陰」の時間とされています。うるおい(陰)が足りないと、陰の時間である夜に熱を抑えきれず、夕方からほてりやザワザワが強まりやすい、と考えられているんですね。

現代医学から見ると

体温調節の「ゆとり」が狭くなる

更年期は、閉経をはさんだ前後約10年間。日本人女性の閉経の平均は50歳前後です。

この時期に女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、脳の体温調節のしくみに影響し、暑い・寒いと感じる幅のゆとりが狭くなると考えられています。そのため、わずかな体温の変化でも、ほてり(ホットフラッシュ)や寝汗が起こりやすくなります。

寝汗やほてりで目が覚めると眠りが分断され、それが夜のザワザワにつながることもあります。

乾きも、ホルモンの変化と関係する

エストロゲンの減少は、目の乾き(ドライアイ)や肌の乾燥とも関係があるとされています。東洋医学の「うるおい不足」と、現代医学の見方は、ここでもつながっているんです。

薬膳の視点から:「潤す」食材

薬膳では、うるおいを補う食材を「滋陰(じいん)」の食材と呼びます。

百合根(ゆりね)

性質寒、味は甘
はたらきうるおいを補い、心の熱を冷まして、ココロを落ち着かせるとされる
ひとこと生薬の「百合(びゃくごう)」と同じ仲間。冬が旬

取り入れ方:茶碗蒸しやおかゆ、スープに。

黒ごま

性質平、味は甘
はたらき腎を養い、うるおいを補うとされる
栄養カルシウム、鉄、ゴマリグナン。すりごまにすると消化しやすい

黒豆・大豆製品

薬膳黒い食材は腎を養うとされる
イソフラボンほてりの回数をやや減らしたという研究のまとめがある一方、効果ははっきりしないとする評価も。サプリメントより、豆腐・納豆・黒豆など普段の食事でとる程度がおすすめ

長芋(山薬・さんやく)

性質平、味は甘
はたらき胃腸と腎の両方を養い、うるおいを補うとされる

取り入れ方:すりおろしやとろろ汁に。

控えめにしたいもの
辛いもの、アルコール、熱いコーヒーなどは、人によってはほてりのきっかけになることがあります。寝る前のお酒は、眠りが浅くなる原因にもなります。

今日からできること

1. 夕食に「潤す」食材をひとつ

  • ●味噌汁に豆腐、ごはんにすりごまをひとふり
  • ●長芋のすりおろし、百合根の茶碗蒸し

2. お風呂はぬるめ、寝る1〜2時間前に

  • ●40℃前後のお湯につかる

寝る1〜2時間前の入浴は、その後に体温が下がるタイミングで寝つきやすくなるという研究があります。熱すぎるお湯はほてりを強めることもあるので、ぬるめが◎。

3. 寝室はすずしく、重ね着で調節

  • ●寝具やパジャマは、汗を吸いやすく脱ぎ着しやすいものに
  • ●ほてったときに外せるよう、薄手を重ねる

4. 夕方は「静」の時間に

  • ●夕方以降は激しい運動や長時間のスマホを控え、ゆっくり過ごす
  • ●23時までには布団に入る

こんなときは、医療機関へ

ほてりや寝汗、不眠がつらく、日常生活に支障がある
→ 婦人科(更年期外来)。ホルモン補充療法など、治療の選択肢があります
ほてりに加えて、動悸、汗が多い、体重が減る、手がふるえる
→ 内科・内分泌内科(甲状腺の病気のこともあります)
寝汗とともに、熱が続く、体重が減る
→ 内科
口や目の乾きが強く、関節の痛みなどもある
→ 内科・膠原病内科
気分の落ち込みや強い不安が2週間以上続く
→ 心療内科・精神科

うるおいを補う、漢方という支え

東洋医学では、ほてりや寝汗には、熱を冷ますだけでなく、足りないうるおいを補う考え方の処方が使われてきました。ただ、うるおい不足が中心の方、気のめぐりの滞りが重なっている方、血の不足もある方など、根っこは人それぞれ。

はんなり堂薬局の漢方相談では、あなたの体質を伺いながら、養生法や漢方を一緒に考えていきます。ほてりや寝つきの悪さが気になる方は、お気軽にご相談くださいね。

ここまで走り続けてきたカラダが、「少しペースを落として、潤してね」と伝えているのかもしれません。

だから、大丈夫。

※漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。現在病気の治療中の方や、お薬を服用中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。

※食材は、あくまで日々の食生活の工夫としてお取り入れください。

※この記事は一般的な情報をお伝えするもので、診断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。

和歌山県岩出市

『心と体に寄り添う』
更年期世代の女性のためのプライベート相談薬局

不調の根っこ探しで、安心が見つかる。

明日から、もっと自分を幸せにする、
あなただけの養生法を見つけましょう。

はんなり堂薬局 石津あいこ

参考

  • 『黄帝内経』素問・上古天真論
  • 『中華人民共和国薬典』百合・黒芝麻・山薬
  • 日本産科婦人科学会「更年期障害」
  • 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会「ホルモン補充療法ガイドライン 2017年度版」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「更年期障害」
  • Freedman RR. J Steroid Biochem Mol Biol. 2014;142:115-120.
  • Sullivan DA, et al. TFOS DEWS II Sex, Gender, and Hormones Report. Ocul Surf. 2017;15:284-333.
  • Taku K, et al. Menopause. 2012;19:776-790.
  • Lethaby A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(12):CD001395.
  • 食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
  • Haghayegh S, et al. Sleep Med Rev. 2019;46:124-135.

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